最近、テレビCMでお馴染みのライザップの台頭によりパーソナルトレーニングの重要性が注目を集めています。集団の中ではなく、個別に食事を管理し、筋力トレーニングをしっかりと取り組ませて結果に結びつけるもの。
当たり前ではありますが、徹底的な管理があれば答えは出てきます。
スピーディーに脂肪を落とすためには食事制限が一番ですが、極端に偏った摂り方をすると一緒に筋肉まで落とすことにもなりかねません。健康の側面からもバランスの良い食事を心がけたいものです。
筋力トレーニングでは、筋肉に高強度の負荷をかけて筋線維を破壊し、組織の修復過程でより太く丈夫な筋肉へと発達させていきます。筋肉量が増えると、私達が生活する中で何もしなくても消費されるエレルギー(基礎代謝)量が増えるために、太りにくい身体へと変化していきます。ただし、筋力トレーニングは、週に2日程度、高強度のトレーニングをやり続ける必要があります。また、トレーニングによって毛細血管が発達しますので、トレーニングを中断すると脂肪がつきやすくなります。注意が必要です。
私は、病院理学療法士として、長年にわたって機能障害と能力低下の改善目的に理学診療を行って参りました。
そして、数多くの患者様やアスリートをみてきた中で、筋力バランスと姿勢、動きの特徴を整理することが出来ました。そしてたどり着いたテーマが、股関節を上手に使う事でした。
日本には、昔から『腰が入ってない!』なんて言葉がありますよね。
『腰』と言う言葉が出てきますが、これは重心線と股関節の位置関係の事を言っており、まさしく股関節を上手に使う事をさしております。
実は、その言葉は特定の作業をする時の事だけでなく、日頃の全ての動作に存在します。
皆さんは腰を入れて歩けていますか?
腰を入れる! 股関節二軸トレーニング。
スポーツドック久留米では、機能性の高い動作の獲得を目指します。
例え話です。
ボディービルを行なっている選手が、引越しのお手伝いに行ったところ、全く使い物にならなかった!
なぜでしょう?
これは非常に極端な例え話ですが、実は、トレーニングで筋肉をいじめる癖がついているため、必要以上に筋肉に力を込めて、筋力に依存的になってしまう傾向があるためです。
イチロー選手が過度な筋トレを推奨しないのはそのためです。力任せではなく、上手に身体を使うことが重要であるということです。
全身の体の動きをみてみると、うまく機能していない場所の筋肉は固く強張り、関節の可動性も悪くなっています。単にその部分を動かすだけでなく、全身との関係性の中で上手に動かし、さらに自ら動かす動作へと繋げていくことで、あなた自身の動作効率を向上させてまいります。
つまり、高強度の筋力トレーニングを一生涯にわたって続けていくのではなく、機能的動作訓練によって正しい姿勢・機能的な動作を獲得すれば、エネルギーを消費しやすい美しい身体を手に入れることができるでしょう。
機能的動作訓練キーワード
重心移動と股関節軸
ダイエットのキーワード
ドローインと大腰筋
仰向けで両膝を立てた状態です。
鼻から大きく息を吸い、お腹を膨らませます。
その後、口からふーっと息を吐きながらお腹を細く細く締め付けます(腹式呼吸)。
慣れてきましたら、呼吸に関係なく常にお腹を締め付けたままにします(胸式呼吸)。
このお腹周りの締め付けは、これから先のトレーニングにおいて常に意識していただく大切なものです。眠っている筋肉を刺激して目覚めさせます。すると最終的には無意識下で出来るようになります。
ストレッチポールを背筋に沿わせて上に寝ます。
両膝を立てて両手は手のひらを床につけます。この姿位は基本形です。
先程のドローインをこの状態で行います。
1分程度で次の姿位へと進めてまいります。
次の姿位です。
まず右脚を伸ばし、左腕を上に挙げます。
右脚のつま先はあまり外を向かないように気をつけて下さい。
左腕は、真上に真っ直ぐ挙げるのではなく、肩・肘が90°程度で胸が良く張れるところでキープします。
先程と同様、この状態でドローインを行います。
1分程度で左右を入れ替えて再度ドローインしていきます。
このように左右交互に数回繰り返し行って下さい。
最後の姿位です。両腕・両脚を伸ばします。
この姿位は、腰の反り返りが出やすいため、前の左右非対称の姿位で十分に胸を開いてから行なって下さい。先程と同様、この状態でドローインを行います。1分程度で次のトレーニングに移りましょう。
ドローインが意識できるようになったら、更なるポジションにて体幹の固定力を上げていきます。
床に仰向けで片膝を立てます。両腕は肩・肘90°にて手の甲を床につけます。横から見て肩から伸ばした脚先まで一直線となるようにキープしたままお尻を持ち上げます。手の甲で軽く床面を押すようにすると背中の上の方までしっかり持ち上がります。
1・2・3・4の4呼間でお尻を持ち上げ、
5・6・7・8
2・2・3・4の8呼間そのまま姿勢をキープし、
5・6・7・8の4呼間でお尻を降ろします。
その間、しっかりとドローインをキープして下さい。
片脚で3回、左右で計6回を目安として下さい。
うつ伏せで肘とつま先で身体を支える準備をします。
1・2・3・4の4呼間で身体を持ち上げ、
5・6・7・8
2・2・3・4の8呼間そのまま姿勢をキープし、
5・6・7・8の4呼間で身体を降ろします。
その間、しっかりとドローインをキープして下さい。姿勢キープの際に、顎が上がると腰が下がり、おへそを覗き込むと腰が上がります。しっかり胸を張り、顎を引くようにし、身体が一直線となるよう心がけて下さい。
この運動は、体幹部の動きだけで身体重心を前後・左右へと制御する練習となります。効率の良い動作とは、このような重心移動から始まる動きのようです。
この体操は、背骨一つ一つを動かし、しなやかな身体の使い方の学習となります。
非常に重たい頭部は前後に動かさないようにし、重心を低く低くしてまいります。
重心が最も低くなった位置から、今度は頭のてっぺんから紐で引っ張られているイメージで重心を高くしてまいります。余計な力みは禁物です。
背骨一つ一つの動きを意識すると、その動きのセンサーとして働くインナーマッスルが活性化します。
ゆっくりと10回程度行いましょう。
これは胸の筋肉のストレッチングです。
手のひらを外に向け、肘と肘を背中側に寄せていき20〜30秒キープします。
この筋肉が硬いと胸が開きにくくなりますので、補助的に活用して下さい。
この体操は、背骨一つ一つを動かし、しなやかな身体の使い方の学習となります。
非常に重たい頭部は左右に動かさないようにし、重心を右側に移動してまいります。この時、右の肩甲骨と骨盤は遠ざかり、左の肩甲骨と骨盤は近づきます。
重心が最も高くなった位置でドローイン(ウエストを細く)しながら行います。余計な力みは禁物です。
背骨一つ一つの動きを意識すると、その動きのセンサーとして働くインナーマッスルが活性化します。
ゆっくりと10回程度行いましょう。
左右行います。
これは右脇腹の筋肉のストレッチです。
右上肢を手のひらを外にして挙上し、肘を曲げ頭部の後ろに持ってきます。その手を左手で前方より軽く把持し、上半身重心を右側に移動させます。
その位置で20〜30秒キープしましょう。
この筋肉が硬いと重心の右側移動の際のスムーズな動きを妨げます。是非とも活用してみて下さい。
動画のように、両膝立ち位で足踏みを行います。
この時、頭のてっぺんから紐で引っ張られているイメージで重心を高くしてお腹周りを細く細く締め付けます(ドローイン)。
この姿位での足踏みでは、足の挙上側の骨盤の引き上げが起こります。これは大腰筋の作用によるもので、目的とする重心コントロールができれば、骨盤の引き上げと同側の肩甲骨は下制し、重心線は、反対側の股関節付近を通って膝周辺に落ちます。頭部や上体が左右にブレた場合、このような身体制御は起こりませんので気をつけて行ってください。30回程度繰り返し行ってください。
前の項目の膝付き足踏みが上手に出来るようになれば、床面と降り出す足部の空間に余裕を持って片膝立ちが可能となります。
重心を高く維持した状態でお腹を締め付け(ドローイン)行うことで、頭部や上体を大きく倒しながら行うごまかし動作が予防できます。
この時の体幹の動き、重心コントロールが、効率の良い動作のカギとなります。
十分に練習を行ってください。
このトレーニングは左右の股関節に体重を乗り分け、股関節に軸を作るステップトレーニングです。非常に効率の良い動作であり、『達人の筋肉』と呼ばれる大腰筋を働かせて姿勢を良くし、シェイプアップ効果もあると言われています。
自然に歩く時のような足幅で立位をとります。
頭のてっぺんを紐で引っ張られるように重心を高くし、お腹周りを細く細く締め付けます(ドローイン)。
一方の脚の踵を可動域いっぱい持ち上げます(爪先立ち)。この時、横から見てつま先のラインから膝を前に突き出さないようにします。
最初は、一方のつま先にストレッチポールが当たるように立てておくと感覚が掴みやすいです。
身体の動きでは、
①爪先立ちした側におへそが向く
②爪先立ちした側の骨盤が引き上がる
③爪先立ちした側の肩が下がる
④爪先立ちした側と反対側のお尻が効いている
という特徴がチェックポイントとなります。
前方、両側方からの画像でチェックしてみてください。
慣れてきたら、爪先を床から離してみましょう。
先に示したようなチェックポイントを確認しながら、踏み台昇降をサイドでやっていきます。
動画のように、1・2・3、2・2・3、3・2・3、の要領で足踏みを行います。股関節を駆使した動きですので、膝や腰に負担をかけない動作習得に役に立ちます。体と相談しながら、100回を目標に徐々に回数を増やしていきましょう。
以上、寝て行う体操から、立位ステップ運動まで、日頃の呼吸法や姿勢、動作を改善するためのトレーニングをご紹介致しました。
『機能的動作訓練ダイエット』の特徴は、動き易く、効率の良い動作を身につけ、それらの日頃の動作を通じてシェイプアップを図っていくことを目的としております。
痩せることだけを目的としたものとは違うことをご理解いただきたいと思います。